2025/07/23

ストレスに負けない脳を育てる レジリエンスと運動の科学【第2部:脳とストレス編】 

大阪 (梅田 京橋 中之島)を中心に活動している、tsunagu training代表パーソナルトレーナーの中島匡晶です。

「体を整えて鍛える」ことを得意としており、運動が初めての方や不安のある方にもわかりやすく丁寧にサポートしています。

レジリエンスと運動の科学【第2部:脳とストレス編】

 

運動が“脳を変える”という事実

前回の記事では、運動によって「心の回復力=レジリエンス」が高まるという話をお伝えしました。

今回はさらに深く

“脳”がどうストレスに反応し、運動によってどう変化していくのか?

その科学的なメカニズムに迫ります。

 

ストレスが脳に与える影響

私たちがストレスを感じると、脳の中では次のような変化が起こります:

  • 扁桃体(不安や恐怖の処理)が過活動になる
  • 海馬(記憶・感情の調整をする)が萎縮する
  • 前頭前野(理性や意思決定)が働きにくくなる
  • コルチゾール(ストレスホルモン)が過剰に分泌される

このように、慢性的なストレスは脳を疲弊させるのです。

 

運動でストレスホルモンを制御する

ここで登場するのが運動です。

運動によって分泌される物質の中には、ストレス反応を抑える働きを持つものがあります。

たとえば…

✅ BDNF(脳由来神経栄養因子)

→ 神経の成長と修復を促進。ストレスでダメージを受けた海馬を保護

✅ NPY(神経ペプチドY)

→ “ストレスに強い人”が多く持っている物質。感情の暴走を防ぐ働きがあるとされる

✅ セロトニン・ドーパミン

→ 気分を安定させ、幸福感をもたらす。運動で自然に分泌が促される

運動によってこれらの物質が増えることで、ストレスに「過剰反応しない脳」がつくられていきます。

 

神経が生まれ変わる?〜神経新生という奇跡

昔は「大人になると脳細胞は減るだけ」と言われていましたが、

近年の研究では“運動によって脳細胞が新しく生まれる”=神経新生が起こることが明らかになっています。

特に有酸素運動は、海馬での神経新生を促し、以下のような効果を生み出します:

  • 記憶力の向上
  • 感情コントロールの向上
  • ストレス回復のスピードが上がる

つまり、運動は「脳のリセットボタン」でもあるのです。

 

ストレス耐性を鍛える“負荷”とは?

運動でストレスに強くなる──これはただ「動けばいい」という話ではありません。

“適切な強度”がポイントです。

適度な負荷(例):

  • やや息が上がる程度のウォーキング(20〜30分)
  • 会話がギリギリできるレベルのジョギング
  • 軽〜中程度の筋トレ(RPE 6〜7くらい)←Rate of Perceived Exertion(自覚的運動強度)の略

📌強すぎる運動はかえってストレスになりますが、「少しキツい」と感じる程度の運動がストレスへの耐性を高めるとされています。

 

ストレスに強い人の体内では何が起きている?

ストレスに強い人と弱い人──

その違いは気持ちの問題だけではなく、体内で分泌される物質の違いにもあります。

研究によると、ストレスに強い人ほどNPY(神経ペプチドY)の分泌が活発。

NPYは「不安・恐怖の感情」を抑えるブレーキのような役割を果たし、

感情の暴走を防ぐとともに、体のストレス反応を沈静化する作用もあると言われています。

このNPYも、運動によって増やすことが可能です。

 

まとめ|“脳のトレーニング”としての運動

私たちの脳は、思っている以上に“可塑性”を持っています。

つまり、日々の習慣で変わるということ。

  • ストレスに強い脳
  • 感情をコントロールできる脳
  • 回復力がある脳

これらは、「運動を続ける」という日々の積み重ねで、確実に育てていくことができます。

 

次回【第3部】では…

  • 実際にどんな運動がレジリエンスに効くのか?
  • 運動の強度や頻度はどう設計すれば良い?
  • 習慣化・記録・仲間づくりのコツとは?

日常に取り入れやすい運動習慣のつくり方をお伝えします!

 

 

 

 

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